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2009年5月18日(月)
開催日 | 2009年5月8日 |
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会場 | 京都大学経済研究所 北館 1階101号室 |
主催 | 京都サステイナビリティー・イニシアチブ(KSI) |
プログラム
15時
開会挨拶 (5分) 生存基盤科学研究ユニット長 小西 哲之
ウクライナ キエフ工科大学 松木 良夫 先生
「外部性コストを指標とした持続可能なエネルギーオプション選択のための
エネルギーシステムの健康と環境への影響評価」(仮題)
参加者より質疑応答、ディスカッションなど
閉会挨拶 (5分)KSIディレクター補佐 佐和 隆光
講演概要:
持続可能なエネルギーオプション選択の為に、ミクロ経済学理論に基づく外部性コストを指標として、各種エネルギーシステムからの健康と環境への影響を比較評価する為に開発された手法の適切さと可能性を検討する。本手法では、発電施設、燃料採掘場、燃料加工施設、廃棄物処分施設などから放出される環境汚染物質の種類と量の把握、放出された汚染物質の環境中の濃度変化を計算する為に必要な周囲の人口分布と気象条件の調査、環境中の各種汚染物質の濃度変化の計算、汚染物質濃度変化がもたらす即発性および晩発性の各種疾病発生数と死亡者数などの計算を行い、健康影響などの貨幣価値換算を行う。このための貨幣価値換算係数のためには、仮説的な寿命の価格、支払い意志、医療措置にかかる実際の費用を用いる方法など、幾つかの方法がある。
外部性コストが様々なエネルギーオプションを比較する為の効果的な指標として用いられるものか2つの方法で検討した。
第一のステップでは、国際原子力機関「原子力とその他のエネルギーシステムの健康と環境リスクの比較評価の為の研究調整プログラム」(以下、「CRP」)であり、外部性コストは、各種エネルギーシステムの健康と環境への影響評価結果を示すものであり、これらの比較の為の実用的な指標であると結論した。
第二のステップでは、外部性コストをエネルギーオプション選択の為の指標として用いる方法論を、ウクライナの化石燃料発電所の健康影響評価を通じて研究した。透明な手順を特徴とする手法が、IAEAのCRP参加国だけでなく、旧ソビエト連邦共和国だったウクライナでの化石燃料発電所の運転に起因する外部性コストをも効果的に評価するものであること、実践的な政策および市場メカニズムが無いにも関わらず、推定された外部性コストは、ウクライナの電力価格と比較して無視できない大きさであること、エネルギーと環境に関する政策の改善に寄与する可能性があることが認識できた。さらに、本件方法論の他の地域への応用の可能性を広げる一般化についても言及する。