東京大学では、サステイナビリティに関連する研究教育や社会連携はさまざまな部局で取り組まれていますが、とくにこの課題を中心に据えて取り組んでいるのは、総長室総括委員会のもとに設置されたサステイナビリティ学連携研究機構、大学院新領域創成科学研究科で運営されているサステイナビリティ学教育プログラム、および東京大学本部に設置されている東京大学サステイナブルキャンパスプロジェクト室です。それぞれは以下のような取り組みを行っています。
サステイナビリティ学連携研究機構
サステイナビリティ学連携研究機構では、日本のこの分野における優れた大学・研究機関、この分野に関心をもつ行政・企業と連携しつつ、サステイナビリティ学に関する国際的な研究拠点形成を目指しています。またこの分野をリードする世界の大学・研究機関とともに国際サステイナビリティ学会を組織し、国際サステイナビリティ会議、同アジア会議等を毎年開催するとともに、国際学術誌「サステイナビリティ・サイエンス」(Springer)を刊行しています。また、アジア・アフリカなどを主対象に、気候変動の緩和・適応策、生物多様性・生態系の保全・再生、資源循環型社会の構築などに関する国際協働プロジェクトを実施しています。
大学院新領域創成科学研究科
東京大学大学院新領域創成科学研究科は、これまでのサステイナビリティ学教育プログラム(GPSS)をさらに発展させ、2011年から、この分野における国際的な人材育成を行うためのグローバル人材育成プログラム(GLI)を開始しました。このプログラムでは、「ホリスティック」、「レジリエント」、「トランスバウンダリー」をキーワードに、東日本大震災からの復興への貢献も含めて、サステイナビリティ学を実践的に学ぶことができます。また、これまで国連大学とともに推進してきたアフリカにおける持続可能な開発のための教育(ESDA)をさらに発展させ、大学院生がアフリカの現場でサステイナビリティの課題を学ぶプログラムも開発することになっています。また、国連大学やアリゾナ州立大学との協働教育プログラムも展開することになっています。
サステイナブルキャンパスプロジェクト室(TSCP)
サステイナブルキャンパスプロジェクト室(TSCP)では、東京都で最も多く二酸化炭素を排出している事業者としての東京大学の低炭素化の実践を目指した取り組みを行っている。
2012年までの非実験系の二酸化炭素排出量の15%削減(2006年比)という目標に近づき、現在は2030年に向けて、二酸化炭素排出量の50%削減(2006年比)という目標達成に向けた具体策を検討している。また、東日本大震災の発生以降は、夏のピーク時の電力使用量の大幅削減を目指した節電対策に取り組み、電力料金の大幅な節約をもたらすなど大きな効果をあげている。また、そうした実践のサステイナビリティ教育への活用や、東京大学が参加する国際研究型大学連合(IARU)でのキャンパス・サステイナビリティに関する国際交流なども行っている。