年末になると、国の内外の重大ニュースが選ばれます。今年は何が選ばれるでしょうか。
私は、大気中の二酸化炭素濃度が初めて400ppmを超えたことを挙げたいと思っています。
ハワイのマウナロア山では、半世紀以上にわたって二酸化炭素濃度が測られてきました。今年の5月9日に400.03ppmとなり、観測史上最高となる400ppm超えを記録しました。
400ppmを超えたからといって、急に何かが起こるわけではありません。ここで測定される二酸化炭素濃度は、冬に上昇して夏に下がる季節変化を繰り返しながらも、全体として上昇を続けてきていました。いつか400ppmを超えることは確実で、想定外のことが起きたのではありませんでした。 逆にいうと、来たるべき日が来たということです。私はだからこそ重大視すべきではないかと思っています。
じわじわと進む事象は、ついついそんなものかと見過ごされてがちです。
ハワイの観測は1958年に始まり、そのときは315ppmでした。以来じわじわと着実に増え、とうとう400ppmを超えました。 この「じわじわ」を少しでも遅らせようとする努力も続けられてはきました。しかし、それは「じわじわ」のゆるぎない歩み対してまことに頼りなく、むしろ後退気味ですらあります。
人類の持続可能性は、この「じわじわ」の持続を食い止められるかどうかにかかっていると指摘されているのに、「じわじわ」があまりにも着実すぎるために、われわれの感覚は麻痺してしまっているようです。
「じわじわ」に対して鈍麻してしまう人間の感覚は、いくらぼやいてもぼやき切れるものではありません。