たとえば、こんなことがあったとします。
なじみのラーメン屋で、どうもこのごろ麺の量がちょっと少ないような気がする。店主にきくと、事もなげに「いままで通りですよ」という返事。こっちの感覚が変わったのかなと思う。
しかし、何回か通って、やはり気になって仕方ないので、店のおカミサンに聞くと、「実は前から調整していました」という。怒って、店主に問いただすと、「わしは知らなかった」という。
もしそんなラーメン屋があったら、通い続けるでしょうか。
だいたい店主が知らずに調整するのは変です。
カミサンが勝手にやったとしても、店主が気づかないのは、ぼんやりしすぎです。
本当に店主は知らなかったとしても、客に向かって「わしは知らなかった」というセリフは絶対にいうべきでははないでしょう。店主は責任者なのです。知っていなければならないのです。
責任者が平気で「知らない」などといったら、店の信用も、店主の信用も一遍になくします。
プロ野球の統一球が飛びやすく調整されていたという話は、まさにそういうことのようです。
日本野球機構(NPB)のコミッショナーは、記者会見で「事実を知っていれば公表していた。隠蔽でも不祥事でもない」といったそうです。それって、世間に向かっていっていい言葉なのでしょうか。
組織のトップが「わしは知らない」と、外に向かっていうのは、ありでなのでしょうか。それをいったら、「私は無責任の極みです」と、公言するに等しいのではないでしょうか。
コミッショナーの隣りには、「昨年夏にコミッショナーに相談した」と話していた事務局長がいました。事務局長がウソをついていたのなら、何らかの処分をして、事務局長抜きで記者会見をすべきでしょう。
「知らなかった」でとりあえず逃げようというのは、トップとして見苦しすぎます。
「近頃の若い者は」とは、大昔からある嘆きらしいです。
最近では、「このごろのトップは」と、いい年したお偉い人たちのふるまいをぼやかないといけないようです。