先日、浅草演芸ホールに行きました。
浅草演芸ホールというのは、浅草にある寄席です。東京に4つある寄席の定席の一つで、残りの3つは、鈴本演芸場、新宿末廣亭、池袋演芸場です。
平日の昼間だったので、すいているだろうと思って入ると、8割ほど座席が埋まっていました。女性も多く、若い人も結構いました。その後、ほぼ満席になりましたから、世の中、ヒマな人が多いようです(私もふくめて)。
この日は、あるお目当ての落語家さんがいましたので、その人が登場する1時間半ほど前に入場しました。
入ったときは、ちょうど紙切りの最中でした。お客さんの出すお題を聞いて、即座にその形を切るのですが、場所柄、スカイツリーという題や、時期的に新一年生といったお題がありました。
お次が落語で、落語とそれ以外の色物が交互になっていて、飽きない組み合わせになっています。
途中、短い休憩時間があって、売店をのぞいたりしていると、そこに、お目当ての当の落語家さんが、すっと入って来ました。町にいくらでもいそうな地味なごく普通のおじさんでした。
そのおじさんが、いよいよ高座に上がると、顔を上げただけで館内は大爆笑。さきほどの地味さとはまるで違います。噺も、もうおかしいのなんの、笑いっぱなしでした。
寄席で楽しい時間を過ごしてから、真面目に考えますと、人を笑わせることを仕事としている芸人さんが大勢いて、芸を披露する寄席というものが存在しているというのは、もしかすると、なかなかたいへんなことなのかもしれません。寄席には笑うために行くのです。芸人さんは笑わせるために、何年も修行を積むのです。
笑いというものを巡って、寄席を媒介として、客と芸人との関係が江戸時代からずっと持続しているというのは、日本の文化も奥行きが深いものがあるといっていいのではないでしょうか。