エジプトで気球の墜落する事故がありました。
不謹慎なのかもしれませんが、報道されている情報に基づいて、もしも自分が乗っていたらと想像すると、これは本当に恐ろしい事故です。
事故で命を落とすのは何であれ嫌ですが、その中でも特別に恐ろしいものであるように思えます。犠牲になられた方々が、どれほどの恐怖を味わったのかと思うと、いたましい限りです。
熱気球から煙が出て、すぐに操縦士が飛び降り、続いてもう一人飛び降りたそうです。操縦士は重体で、もう一人が生き延びました。
操縦士が真っ先に飛び降りたのは、乗客を残して無責任ともいえますが、これから何が起こるか彼にはすぐにわかったからなのでしょう。そのときは気球は地上から数メートルの位置にあったので、助かる唯一のチャンスでした。
その後、気球は煙を上げながら上昇していきました。乗客は、飛び降りるにはもう遅すぎるし、このままでは気球が燃え尽きて必ず落ちるだろうと、どうすることもできない絶望感に陥ったことでしょう。
想像するに、事故で死ぬのなら、何が起こったかもわからないくらい瞬時であるのがいいでしょう。そうでなければ、あきらめるに十分なくらいの時間があるのが次善でしょうか(人生への別れを思い遺書を書くなどする)。
今回の事故は、自分の身に何が起こっているのか、全てが見えているのが怖すぎます。しかも、恐怖を味わうには長すぎる時間があったようです。
亡くなった四人の日本人は60代の夫婦とのことですから、私とそうは違いません。定年後の楽しい夫婦旅行がこのようなかたちになってしまい、自分におきかえて考えると、気の毒で言葉もありません。