東京駅の赤煉瓦の駅舎の復原工事が終わり、10月1日に全面再開業されました。
東京駅は通勤でいつも通っているのですが、乗り換えで利用しているだけなので、ふだんは外に出て駅舎は眺めることはありません。ようやく数日前になって、いつもとは違うコースで移動した際に、外観を初めて見ました。
夜になっていましたので、駅舎は美しくライトアップされていました。周囲に大勢の人がいてにぎわっていました。通勤などで利用している人も多数いるのですが、それとは明らかに異なる流れで動いている人々がいました。駅前広場をはさんで正面から駅舎を望む新丸ビル側にも多数の人がいて、写真を撮っていました。
あちこちで記念撮影のストロボがたかれ、駅舎は華やいだ感じでした。
たぶん私は臍まがりなのでしょう、新しい駅舎の前で、復原前の古い駅舎を思い出して、不意にしんみりとしてしまいました。以前の仕事をしていたときに、約25年間、通勤途上で、古い駅舎をいつも見ていました。当時のとんがり帽子のような屋根は、駅舎全体とどことなく不釣合いで、空襲で破壊されたのを、戦後まもなくに修復した、いかにも仮普請という感じでした。しかし、仮普請であっても見慣れると愛着が生まれるものです。
新しくなった駅舎の、いかにも堂々としてきらびやかな姿を前に見ながら、かつての仮普請の姿が、何ともいえない哀愁を伴って脳裏によみがってきて、それ以上は、新しい駅舎を見ていられなくなり、足早に駅の中に入って、電車に乗ってしまいました。
2012年10月18日(木)