天気というものは、本当に思うようになりませんね。
今日は、スカイツリーの開業日です。
東大にある私の部屋からも、ふだんはスカイツリーがよく見えます。今朝は7時ごろから雨が降り出して、じきに姿が消えてしまいました。スカイツリーまでは直線で約4キロで、現在の視界はそれ以下です。
スカイツリーの展望台にのぼるには、7月10日までは日時指定の完全予約制です。初日の今日は最高倍率が335倍で、約8000人が当たったそうです。その予約を獲得できた幸運の人も、気の毒に天候には恵まれませんでした。せっかくの開業日も、この状態では、眺望は期待できません。展望を楽しむのはまた次の機会として、とにかく初日にのぼれたことで満足するのでしょう。
昨日の金環日食は、微妙な天気の差が、運不運を分けました。
私は神奈川県の自宅で見ようとしていました。明け方に雨がかなり強く降り、これは駄目だと思いました。ところが、雨が上って、その直後に青空が広がったので、大いに期待させられました。しかし、5時を過ぎると、次第に雲が広がり出し、それが厚くなって、日の出となり、太陽が全く見えないままに、日食の時間帯に突入してしまいました。そのうちに、再び雨が降り出して、刻々と金環日食の時刻が迫ってきました。
唯一の希望は、明け方と同じく、雨が降り終わったら、青空が出るかもしれないということでした。だが、その望みも絶たれ、7時30分になっても雨は降り続いていました。
もう完全にあきらめて、ただ雨空を見上げていました。すると、空が何かしらふっとゆらめきました。雨がまだ降っていました。その雨を通して、彼方に、ふわっと光のリングが浮かび上ってきました。一瞬、輝きを増し、たちまち淡くなって、消えてしまいました。まるで幻のようでしたから、金環日食が見えたのだと理解できたのは、一拍おいてからでした。
それからは、雲の流れる向うに、金環が明滅し、次第に細い三日月状の太陽になっていきました。十数分後には、太陽はまた雲に隠されてしまいました。
金環日食の短い間だけ、どうしてその姿を見せてくれたのかは謎です。見られないと観念していただけに、いまもって信じられない思いです。
2012年5月22日(火)